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ANORA アノーラの無のレビュー・感想・評価

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)
4.3
もう一度見たいと思う作品
特にラストシーンの余韻がすごい
エンドロールは放心状態、鑑賞後には少し考え込んでしまった

イゴールは他の男とは違かった
現にすぐ固くならなかったのか、アノーラが少し唾をつけたりと手間取っている描写がある

言語化するのが非常に難しいが、アノーラは結局他の汚い男と同じなんだとイゴールのことを恐れてしまったんだと思う
ただイゴールが無理やりにでもキスしようとしたのは守ってあげたいという恋愛感情に近い気持ちを伝えたかっただけで、決して嫌らしいものではない
でもレイプを警戒していたアノーラからすると行為の主導権を奪われることが怖かったし、イヴァンのようにまた搾取されるかもしれないという考えもよぎったのだと思う

泣いた理由はこの怒涛の数日間のこともあるが、セックスワーカーとしての葛藤などアノーラの人生での蓄積も含まれていたと思う

そしてアノーラは間違いなくイヴァンに対して本気だった
行為中笑いを堪えてるところを見ると、最初は本当にお金だけだったんだと思う
ただ家を突撃される前2人でくつろいでいる時のアノーラは、完全に恋に落ちている表情だった

マイキー・マディソンのオスカー受賞に疑問を持つ人もいるだろうが、
ポールを自宅に設置し練習
実際にクラブに足を運び、セックスワーカーの理解を深めたうえでの役作り
ロシア語の学習
ブルックリンアクセントでの演技
これらを踏まえれば妥当だと思う

その割にポールダンスのシーンが数秒だったのは少し残念だった

挿入歌もとても良い
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