マインド亀

ガメラ 大怪獣空中決戦のマインド亀のレビュー・感想・評価

ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)
4.0
その時代の若い人、新しい人が撮った、新しい怪獣映画の幕開け

●平成ガメラはなぜか『ガメラ3』だけを何度もリピ鑑賞してて、昨年4K版ドルビーシネマまで観たにも関わらず、なぜかこの1と2だけが鑑賞機会に恵まれず、テレビ放送も忘れてたり、なぜか何回も録画失敗したりして、ひょっとしたら1と2は一生観れないんじゃないかと思ってるところへ遂にNetflix配信!というか前から配信してたのか?それとも『GAMERA -Rebirth-』の配信に揃えて来たのか?とにかくようやく観ることが出来ました!ドルビーシネマ版パンフレットでしっかり復習!

●やっぱり、これをリアルタイムで観ていれば…中高生の当時はもう、1991年『ゴジラvsキングギドラ』を観て「未来人」の設定で怪獣熱が冷めてしまい、1994年『ゴジラvsメカゴジラ』のGフォースとか言う設定を一笑して観なくなった時代…この作品こそが自分が観たかった、「地に足の付いた」怪獣映画として「ガメラ至上主義」を唱えるうぜぇオタクになっていたかもしれません…

●シン・ゴジラに20年先駆け、現代社会にもしも怪獣が出現したら、のシミュレーションの構築が緻密に行われ、自衛隊全面協力の描写もこの頃の怪獣映画にはありえないほどリアル。
この頃『パトレイバー2』で「もし現代日本で戦争を起こすなら」のリアルシミュレーションで素晴らしい脚本を作り上げた脚本の伊藤和典さんの大・大・大功績であるのは当然ですし、この脚本によって自衛隊の全面協力を得られたというのですから、そもそも「映画はその時代の若い人、新しい人が撮るべきもの」という考えでこの座組を組んだ土川勉プロデューサーの完全勝利に他なりませんね!やはりゴジラではない「2番手」の怪獣映画の復活だったからこそ、攻めに攻めた内容ができたのかもしれませんわ

●その本編の導入、プルトニウム輸送船が座礁。何が起こったか全くわからない状況で巡視船「のじま」とのやり取りがリアル。「巨大漂流環礁」が「のじま」の真下からヌッと現れるシーンの怖さと、その巨大さに、今までにはなかった怪獣のリアルサイズの怖さが引き立ちます。またギャオスの糞の塊の中から食べられた人のメガネが出てくるなど、ギャオスの実態が現れるまでのホラー味が際立ちます。同じような演出に、ギャオスが口から吐き出したあのウォークマン、怖いですね〜恐ろしいですね〜。こういった、血みどろではないけど背筋も凍る捕食の残虐性を表す演出が、子供向けの怪獣映画ではほとんど無かったような気がします。
ゴジラシリーズの「ラドン」もそうですが、なぜにこの翼竜型怪獣は群れを成しやすいのでしょうか?
このギャオスのイメージはひょっとしたらゴジラシリーズのアニメ最新作である「ゴジラS.P」のラドンに影響を与えていないでしょうか?

●また、CGと特撮のハイブリッドが一番良かった時代なのかもしれません。特にこの後の3なんかは良かったのですが、今回目を奪われたのは、太陽の前にて、東京タワーで羽を休めるギャオスの美しさですね。まるで実際の風景のように感じますし、逆に完全CGの「シン・ゴジラ」の屹立したゴジラの風景よりもリアルに感じました!あのシーンはどうやって撮影されたのかご気になります!

●ガメラ自身は、私が3を見慣れてしまっていたためか、なんともまだ可愛らしさが残っていた気がします。おそらくまだ松竹側から、「子供の味方っぽさ」という守らなければいけないラインがまだ引かれていたのかもしれません。まあ当然同個体のガメラですから、今回の藤谷文子の視点と、両親をガメラに殺された前田愛の視点ではガメラの人相も変わっていて当然かもしれませんね。

●とにかく、何故にこの作品をこれまで観る機会を得ることが出来なかったのか、かなり悔しい思いをしております!すぐに2を観てみます!皆さんもぜひ!
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