猫髭公爵

あのコはだぁれ?の猫髭公爵のネタバレレビュー・内容・結末

あのコはだぁれ?(2024年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

次世代を中心に収録再開!続・ミンナの魂の叫びを集める映画。

『ミンナのウタ』の続編。
前作で場所を選ばずGENERATIONS相手にゲリラ収録を仕掛けていた高谷さなが母校でカセットテープ作成活動を再開する。

画面の奥から道路を歩いてきた男性が画面横から突っ込んできた車に轢かれて自動販売機に突っ込むというギャグマンガのような展開から始まる本作。
前作では主に『音』を主体としたホラーだったが、本作は視覚的な方が強くなっている。
前作は画面上に血なんてものはほぼ見られなかったが、本作は序盤から血を見せてきたり割と痛々しい描写が観られる。
しかしながら、不気味や怖いを通り越してシュールなホラーシーンが多く、言ってしまうとあまり怖くなかった。前作のさなの死因なんかもかなりギャグっぽいとは思うけども。
クレーンゲーム機の景品と化した朱美ちゃんが中で大暴れたり、さなの被害者となる少年がさなの家族ミンナと直立不動でプリクラ撮ったり、冷静に観ると笑えてくるようなものがある。
映画が終わったあとには忘れてしまう呪いのフレーズをはじめとした音を使った怖がらせもあるが、前作とあまり変わり映えがない。むしろ声を不気味にいじった演出を安易に使い過ぎていて雑になった印象である。
そもそも、ホラーシーンも前作の焼き直しと思えるようなものがちょくちょく見られ、ネタ切れだったとも思えてしまう。
さなの怪異としてのビジュアル的な怖さが弱いのもホラーとしての残念ポイントか。
現代での死人も結局二人だけと、0人だった前作に比べればハードなホラーだがやはりホラー映画としてはマイルドで物足りない。

物語としては、学校の夏休みの補講に出ている5人の生徒と先生たちがシレっと中に混ざっているさなに襲われるというもの。
「正体不明の何者かに襲われる」というホラー作品らしいテーマであるが、そもそも怪異となる高谷さなについては前作でも触れていて謎はあれど鑑賞者にとってそれほど知らぬ存在ではない。
本編でも一人目の犠牲者が出た直後にはさなの正体は知られ、主要人物たちにも早々に異物だと認識される。
彼女の正体を知らない生徒たちはそもそも襲われているとかヤバイ状況だとか知らぬまま襲われており、「正体不明の何者かに襲われる」という怖さが登場人物から上手く伝わってこない。実際男子生徒二人は高谷一家とゲーセンで遊んでいただけだが。
主人公の一人、瞳とさなのやり取りが序盤以外あまりなかったのも残念。せっかく最初仲良しだったのにこの辺りの関係を物語に絡めなかったのはかなりもったいない。
そういった点では、もう一人の主人公である臨時教師のほのかの存在が邪魔だったのだと思う。彼女を主役級に置かず瞳をメインにした作りにすればもっと深みのある物語に出来たと思われる。
そもそも演じる渋谷凪咲の常に彼氏に甘えるような喋り方がホラー作品に合わない。渋谷凪咲の普段の喋り方は知らないが、あれが監督の演技指導のたまものなら致命的なミスだと思う。
他、若手はともかくちょくちょく演技怪しい人は見られた。まぁホラー映画って割とそんな感じだけども。前作のGENERATIONSって良い役者だったんだなぁって思える。

怖がらせ方のテーマがしっかりとしていた前作と比べ凡的なホラー作品となった本作。
さなの他にも前作のキャラは出るがGENERATIONSは出ないし、あまり勧める要素も見当たらない。
一応前作では触れられなかった高谷一家の謎については知れるが、別に観る程のものではなないかなぁって。
劇場に居合わせた中高生の女の子は怖がっていたようなので、ティーンエイジャーにはちょうど良いホラーかもしれない。
猫髭公爵

猫髭公爵