このレビューはネタバレを含みます
宙吊り多発注意⚠️
(ネタバレもしてますので注意⚠️)
前作で起こした話を間の諸々をすっとばして竜頭蛇尾に帰結させていく後編。
君塚良一の脚本は話を起こすのも締めるのも下手、ということを強く認識させる結果になった2作だった。叱れない室井、しかも叱る場面になってなおズレている。タカは前作でストーリーとしては締まったため今作では全く存在感はなく、杏は振れ幅が極端で、難解すぎるキャラクターになっている。
なにより室井、杏、タカ、リク、そして事件と、いくつもの話を一方通行で進行させるので前作以上に宙吊りが発生しており、それぞれのキャラクターが放置される時間が多すぎる。
前作で重要そうに出てきた火事と死体遺棄事件の話はびっくりするほどなんのカタルシスもないまま解決してしまい、前作の意味が全くない。
稲森いずみは前作以上に無責任になり、丹生明里はただの嫌な奴になってしまった。矢本悠馬は前作ほど空回りしておらず、唯一今作でマシになったキャラクターだと思う。いしだあゆみのいる商店や小沢仁志・飯島直子、木場勝己まわりも展開に唐突感が否めずなにも心に残らない。
キャラクター、ストーリーはどれも前作よりガッカリするもので、この後編を観て前編ごと評点をかなり下げた。それでも「敗れざる者」に比較して評点を高くしたのは…最後のささやかな旅行の場面、クリスマスや年末年始あたりの雰囲気の素朴さが非常に良かったのと、終盤に往年の本広演出を感じるワクワク感が戻ってきたから。そして、ラストはこの長い2作を乗り越えたご褒美が待っている。