戦争は戦場だけではなかった。
大きく括ってしまえば戦争映画。
ただこの映画は、戦時のアナウンサーに光を当てた点が他の作品とは異なる点がある。
一人の和田というアナウンサーの物語。
オリンピックの平和の祭典の実況を夢見ていた彼に待っていたのは、いわゆるプロパガンダ放送。
本来公正公平であるはずの放送に起きた変化に対しての彼の葛藤が痛いくらい伝わってくる。
自分の言葉が人を殺めたかもしれない。
自分の言葉が人の人生を狂わせたかもしれない。
その心情を察するにいたたまれなくなった。
「虫眼鏡で調べて望遠鏡のようにしゃべる」研修時に話した彼の言葉。
目の前のことを描写するだけではなく、
その背景なども十分に取材したことから起きる言葉の重さ。
ただの戦争映画ではなく、人としてプライド持った人物の物語でした。