このレビューはネタバレを含みます
品川国際映画祭2024の会場で2024年11月12日に鑑賞しました。
事前知識無しで観ましたが、ショートムービーでありながらストーリーが凄く纏まっていて、最後に温かい気持ちにさせてもらえました。
本作では、人生の濃さや幸せの大きさは人それぞれの行動次第であるが、長屋文化(すぐ近くにいて助け合いながら生活をする)的に、困っている人の問題に積極的に首を突っ込んで助ける人は傍目には困難に巻き込まれ時間を浪費しているように見えても、実はとても幸せな体験をしているという相対性を描いている。
この長屋的文化を有する梨花と合理主義の響という対照的な二人を軸に物語は進んでいく。梨花の両親が実は養子縁組みした関係だったと知ったことで、自身のルーツを辿っていく。
梨花の実の母が、長屋で生活を始め、後に養子縁組する母と出会い交流する中で、始めは他者との関わりを好まない響のような様子から、徐々に長屋文化に打ち解けていった過去があり、それが娘の梨花にも受け継がれているという流れは感動的だった。
最後に梨花のルーツを辿る旅を一緒に巡った響にも、少し長屋文化の影響を受けていた描写が温かくて印象的だった。
生き方は人それぞれであり、何が正解だなどということはできないが、もしこのような長屋文化が拡がったら、温かくて優しい世の中になるのにと思ってしまった。