まさ

威風堂々~奨学金って言い方やめてもらっていいですか?~のまさのレビュー・感想・評価

3.0
作品全体を通して、奨学金の功罪について問い掛ける作品。奨学金という名の借金。やはりこのネーミングは、結構トラップなのかもしれないとも思う。世の中生きるために必要なものは、やっぱりカネ。でも
カネ以上に、物事をきちんととらえる姿勢と情報が必要だ。主人公の女子大生は、大学進学、奨学金、同棲、裏バイト…と自分の進む道を、見ていてこっちがイライラするくらいに(笑)、周囲に流されるままに決めていく。昔見ていたドリフの番組で、志村けんに「志村、後ろ」って、テレビに向かって叫んでたくらいに、心の中で、「おい、もう少し考えろよ」って主人公に叫んでた。奨学金は、制度的に確かに問題が多いが、それ以上に、利用者がきちんと制度を知り、利用するかどうかをきちんと選択することがそれ以上に大切だ。制度がどうこうである前に、物事をきちんと考える姿勢を啓蒙していくのが先なのではと考えてしまう。返済のために裏バイトまでしてしまう主人公のような大学生が実際にもいること、それは仕方ない。しかし、それが主人公の友人の知り合いが手を伸ばそうとしていた政治の力で庇護され、このように生きざるを得なかった彼女に問題はない、とされるのだとすれば、この国はどこまで甘い国なのだとも思ってしまう。作品をどうとらえ、どう感じるかは自由だ。奨学金の課題を感じるもよし、一人の青年としての生き方の課題を感じるもよし…。
まさ

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