Arata

人生模様のArataのレビュー・感想・評価

人生模様(1952年製作の映画)
5.0
現在放映中の朝ドラ「カムカムエブリバディ」の中で、この映画の原作者オーヘンリーについての描写があり、何となく調べていたところこちらの映画の存在を知る。
70年前の映画で、原作は100年以上も前の作品。
ストーリーテラーが居て、短編が並ぶ、「世にも奇妙な物語」の手法の元祖的な作品。
「的」とさせてもらったもは、最初にこの手法をとった作品が何なのかを存じ上げないが故である。悪しからず。


ここから先は、各話についての感想。


『警官と讃美歌』
先日鑑賞した、アガサクリスティー原作の映画「検察側の証人(邦題:情婦)」の弁護士役の俳優さんがホームレス役で登場し、それだけでも面白かった。
とても浮浪者には見えない体型と、威厳たっぷりな態度と、実際の一文無しの役どころのアンバランス感が最高な、不条理コメディ。

『クラリオンコール新聞』
冒頭の偽札を使うのかと思いきや、意外な展開へ誘導させる巧妙なオチ。
バーカウンターでの、3人の合唱が素晴らしい。

『最後の一葉』
最上級の芸術、その一言。

『酋長の身代金』
熊の登場にハラハラドキドキ。熊が演技しているけど、本物の熊なのだろうか。サーカスの熊かなんかなのだろうか。
岡本喜八監督の「大誘拐」さながら、誘拐犯が手こずる様子が可笑しくて仕方がない。

『賢者の贈り物』
冒頭の、街頭のサンタが掲げる看板「受け取るより与えよ」が、伏線となっている。
お互いの1番大切なモノを売って、お互いが1番欲しがっていたモノを差し出す。
プレゼント交換の場面は、涙なしでは見れない。


ひとつひとつが20分程度で、テンポが良い。
音楽を削ったら、シーンをいくつか足さないと話が通じなくなるくらい、「行間」をこの上なく表現している。

このパターンで、オーヘンリーの全作品を作って欲しい。
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