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チャンスのmasatoのレビュー・感想・評価

チャンス(1979年製作の映画)
4.6
ハル・アシュビーは編集からキャリアをスタートさせた人だった。『夜の大捜査線』でアカデミー賞を受賞して、その後に監督へ転身した。

編集を極めた人だからこそ、これみよがしな編集をしない人だった。それは、この『チャンス』(原題はbeing there)を見ればよくわかる。オーソドックスな隙のない丁寧な編集とはこのことだ、という技を見せてくれる。

ハル・アシュビーの作品は、いつもシニカルで辛辣で優しい。ピーター・セラーズが演じる、少し浮世離れした庭師もただ正直に話しているだけなのに、世間が勝手に持ち上げてある意味、勝手にスターにしてしまう。けれど、庭師は変わらない。どんなことがあっても、自分でしかない。庭師として生き、庭師として死んでいく。

ハル・アシュビーは確か60歳になる前に亡くなってしまったけれど、彼が生きていたらどんな映画を作っていたのかな、と時々考える。
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