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チャンスのsonozyのレビュー・感想・評価

チャンス(1979年製作の映画)
4.0
1979年 米 ハル・アシュビー監督
ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』を下敷きにしたジャージ・コジンスキー原作・脚色
原題: Being There/ドイツの哲学者ハイデッガーの未完の著『存在と時間』から
ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ピーター・セラーズ)・助演男優賞(メルヴィン・ダグラス)他

知的障害で読み書きもできずテレビ大好きな庭師のチャンス(ピーター・セラーズ)。
物心ついた頃から住み込みで働いていた家の当主の死を女中ルイーズから知らされても理解できない。そして弁護士がやって来てこの屋敷は閉鎖するので明日までに出て行くようにと告げられてしまう。

外に出たことも、車に乗ったこともないチャンス。
亡くなった爺様のお下がりのスーツとハットとスーツケースに、ポケットには大好きなTVのリモコンという出で立ちで当て所なく街を彷徨う。
ショーウィンドーで自分が映るTVに夢中になっている時、駐車した高級車に脚を挟まれ、車に乗っていたイブ夫人(シャーリー・マクレーン)に、自宅療養中の夫ベン(メルヴィン・ダグラス)を診ている医者がいるからと大邸宅へ連れていかれる。
「庭師のチャンスです」と自己紹介するが、「チャンシー・ガーデナー」と聞き取られ、これがチャンスの名前となる。笑

何事にも動じず平穏なチャンス。その不思議な存在感にベンもイブも惹かれていく。
ベンと親交のある大統領ボビーが屋敷にやって来た際も、同席させられたチャンスが語る庭についての話を、素晴らしい!意味深長な意見だと解釈。
スピーチにその内容を取り入れた大統領はTVでもチャンスのことを語り、彼は一躍有名人となっていく。
大統領は不思議な男チャンスの身辺を探らせ、FBIやCIAまで登場するが、彼の情報は何も出てこない。

無私無欲(&無学)な一人の男が世界を変えるかも?的な素敵なストーリー。
イギリスのコメディアン、ピーター・セラーズ晩年の名作です。
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