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CURE キュアのOのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
3.8
この作品から流れる音の全てに恐怖する。

冒頭、お気楽な音楽と殺人シーン、
ちぐはぐな映像が逆に恐怖を煽る。

じわじわと気味の悪くなる会話、
明らかに立場が優位なはずなのに
追い詰められているような恐怖。

直接手を加えられているのではなく、
真綿でゆっくりと首を絞められるような
息苦しさに、終始苦しめられる感覚。

誰も気付けず、次の瞬間には
全てが終わっている。

少し若い大杉漣さんが
見られて嬉しかった。

“あんたは誰だ?”
その問いに答えた瞬間、支配される側と
支配する側になってしまう洗脳スキル。
絶対に折れてはいけないのに、
これを無視し続けられる人間は
そういないだろう。

自分は特別だ。
そう思わせる事で相手を懐柔し、
心を惑わせ、孤独にさせる。
言霊とはよく言ったもので、
呪いとは相手にその言葉を
認識させることで効果を発揮する。

考えないようにしても、
◯ねと言われれば嫌でもその
言葉が頭をついて回り、
それに合わせて人は行動してしまう。

人が宗教を何故嫌うのか。
本能的に支配されることに対して
防衛心が働くからかも知れない。

次々と洗脳されていく人々。
たった1人がボソッと呟いた、
ただそれだけの事で多くの人が死ぬ。
何を失ったのか、誰も分からぬまま終わる。

怖いよなあ、本当に。
惹かれてしまう自分もまた怖い。
怖いもの見たさで自滅するのは
いつの時代の人間も同じかも知れない。

間宮邦彦と言葉を交わす度、
役所広司さんの目が据わっていくのが
恐ろしかったです。

終盤、あの施設にあった
テープレコーダー?から流れる
デタラメな音声がただただ怖かった。

もしも、伝道師に出会ってしまったら。
その時は、一目散に逃げるほかないのだと思う。
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