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CURE キュアのNyenentのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
4.3
 黒沢清監督の名を世界に知らしめた傑作。先日観た、のちの「回路」に通じる演出技法が多見され、「回路」をこの「CURE」の続編と捉えることも可能だろう。また、デヴィッド・フィンチャーの「ゾディアック」にもまた共通する要素が散見され、フィンチャーもまたこの「CURE」から影響を受けていたのではないかと想像したくなる。さらに、百年前の古いフィルムを見ることがひとつの「決め手」になるような展開は「リング」を想起させるものであり、わたしはまずは「リング」があって、それを引き継ぐようにこの「CURE」がある(撮られた)のかと想像したのだけれども、その「リング」よりも「CURE」の方が二年ほど先行して公開されていることもわかった。「CURE」を引き継いで「リング」、というふうに考える方が自然なようだ。

 ここでも「回路」のように室内の照明器具は点けられず、基本は外からの光のみで撮影される。印象に残るのはやはり、「唐突な犯行(殺人)」であったり、「風景に映り込んでしまう異様な光景」であったりする。そして、主人公の心象風景をあらわすであろう、まるで空を行くようなバス。
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