「私は幸せな女よ！結婚して都内1の進学校に通ってる息子もいるし」
元彼にそう言い張るだけの為に偶然出会った天人という18歳の少年・天人をスカウトして親子を演じる事になった40歳の独身女性、早苗。

....という冒頭からとんでもねえシチュエーションを土台に展開されるテンポのいい会話劇から「ゆる〜い日常コメディか〜。面白そう〜」などととヘラヘラ笑いながら油断して観てたら...何？？？まさかの天人が失踪事件？！？と突如始まるサスペンス展開からのあれやこれやの怒涛のカオス展開に思わず瞳孔開きっぱなし！なんじゃこりゃ？？？？
これはシチュエーションコメディなのかサイコサスペンスなのか、ヒューマンドラマなのか或いはカーアクションか？
その答えは観た者のみぞ知る、というより鑑賞経って半日過ぎた今でも未だにカテゴライズ不可能だったりして(笑)
でも映画にしても音楽でもなんでもそうだけどジャンルという壁はとっぱらった方が妙に心のど真ん中に入り込んでイノセントに向き合えたりするものなのだ。
　そんなカオス的なストーリー展開のインパクトもさることながら登場人物達の台詞の巧みさ、ってかやり取りにもめちゃくちゃ聴き入ってしまうのだ。
特に注目すべきは早苗と彼女の元カレの娘･莉奈との会話の面白さテンポの良さは何時間でも聴き入ってしまいたいくらいの心地よさだったり。
或いはそんな巧みな会話劇とは逆のベクトルだけど、個人的ツボは寒い日の外での話す時のあるあるな、早苗の「(話を)聞く聞く」を口が回らず言い直した点だったり。
本当にこの「言い訳」名ゼリフの嵐すぎていちいち味わい深いんですよ。「LINEをスタンプで終わらすか否か」議論は天人くんのとまっったく同じすぎた（笑）
でもこれ主演の篠崎雅美さんが今現在ヒット中の『侍タイムスリッパー』に出演しているから託ける訳ではないけどあの作品と同様に100館以上シアター上映してもなんの引けを取らないレベルだと思います。

あ、あとこれ舞台挨拶の後ご本人から聞いたんだけどポスターに載ってる英語表記がconvenient(便利な、都合の良い)となってるのは敢えてexcuse(言い訳)という直訳表記にしたくないとの拘りがあるとの事らしい。

登壇回

久々の長尺映画鑑賞。
約2時間20分の間、ぐっと引き込まれた。

ワードセンスの良い軽快な会話。展開のバランス。ラストに掛けて狂気じみてきた早苗の発する言葉と表情。
どれもすっっっっっごい印象に残った映画。

ラスト「ん？！どういうこと？この展開なに？」と思って終わったけど、舞台挨拶の監督と篠崎さんの話で「あー、なるほど！」と納得。そういう視点でもう一度観たい作品でした。