調伏系V魔虚羅

ブレイブの調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

ブレイブ(1997年製作の映画)
3.1
アメリカの片田舎、家族と倹しい生活を送るネイティブ・アメリカンのラファエル。社会から冷遇され仕事に就くのもままならない彼は、実際に人を殺す映画”スナッフフィルム”に出演すると引き換えに5万ドル払うという誘いを受ける。
人は死ぬ時、如何に勇敢になれるか。
死が遂に肉体に訪れ、最初で最後の訣別をする時、我々は勇気があれば死を歓迎出来る。勇気があれば自分が死ぬという現実を受け容れやすく、今を生きる者に対して死にゆく者は死に直面する勇気という贈り物を与える。人間が人間の為に成しうる最高の貢献である。
5万ドルに相当してしまう人一人の生命の重さ。古くから続く差別によって職さえ就くことの出来ない当時のネイティブ・アメリカン達にとってそれは生命を賭けても良い程の大金。だが、実際にはあまりに安過ぎる金額であるのが彼等の生きにくい現実を暗に示しているよう。
死に対する恐怖により生まれるジワジワとくる緊迫感を特に感じる事はなく、恐怖を劇的に勇気に変える過程が見たかったのだが、その要素が薄かったのが残念。
調伏系V魔虚羅

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