Arsenyevich

殺しのArsenyevichのネタバレレビュー・内容・結末

殺し(1962年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

突出した作品かと言われれば、
それは黒澤明の「羅生門」に軍配が上がってしまう。降り頻る雨の演出も含めて。

にしてもだ、
イタリアの貧困と最下層の生き様をここまで如実に炙り出すベルトリッチ。これで21歳かよ。

全てを失い、それでも歌や踊りに希望を求め、行く当てもなく彷徨う若者達。追い剥ぎも高利貸しもしょうもない輩達なんだけど、ある意味でめちゃくちゃ切ない物語。

手持ちカメラの絶妙な動かし方が、とにかく雰囲気抜群。足場も良くない崖や雑木林の中を動き回る人物を、まるで被写体追尾カメラのように巧みにフレームに収めていく。それだけで映画作りの熱意がじわじわ伝わってくるから不思議。
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