櫻イミト

女体(じょたい)の櫻イミトのレビュー・感想・評価

女体(じょたい)(1969年製作の映画)
3.0
増村監督の傑作「盲獣」(1969)の前作。ヒロインの大袈裟な演技や壁一面にビアズリー風のクロッキーが描かれたアートな部屋など、同作との共通点が見られる。

内容と「女体」という題名から、「情婦マノン」(1948)のような映画を志向したようにも思えるが、だとすると本作での浅丘ルリ子(当時29歳)のストイックな身体つきは合っていない。

本作が制作されたのは革命やヒッピー文化の時代であり”フリーセックス”なる概念が登場していた。この風潮に対して”わがままな子供返りではないか?”と批評しているとも捉えられる。始終テンションの高いヒロインは人格障害者のように見えるが、終幕での姿は、はしゃぎ疲れて眠ってしまう赤ん坊の様である。

総じて「ベティ・ブルー」(1992)の先駆作と言える。もっと煮詰めて構築していたら早すぎた傑作になっていたはずで惜しい。

※DVDジャケットの写真はセレクトのセンスが無さすぎる
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