意外と面白い。売春婦として働きながら自分を育ててくれた母のために売春宿を開こうとするチンピラの血まみれバイオレンス奮闘劇。
二組の親子の話、不法移民を搾取するギャング、警察汚職や復讐まで盛り込む。

その人死んじゃうの？って人が死ぬ。全員悪だから死んでもおかしくはないけど、容赦ないというか意外すぎ。
あの感じはなんだかんだ丸く収まるんじゃないかと思うが収まらないんだな。
ホント悪い奴ばかり。不法移民の黒人女性だけが良心的だったが彼女も理不尽な目に遭う。

あまりに悪い奴ばかりなので、マリオ・カサスが演じるリッキーが良いヤツに見えてしまう。
彼も搾取してるし人殺してるチンピラなのに。
悪い奴らなりに彼らの基準で孝行したり償ったりしてる。ただそれはあくまで自己満足的で世間から見れば善くはないのだけど。

リッキーは売春婦として働いていた母に捨てられその後母は刑務所へ。余儀なく路上生活でギャングに拾われ今に至る。母のことを忘れられず出所後一緒に売春宿を開こうと思ったら母がアルツハイマーになってて。
リッキーといい意外な人物の死に様といい、ありがちな設定に何か一つ足してるなって感じはする。

リッキーと母の話だけでいけそうだけど、複数の犯罪や悪事が絡み、常に何か良からぬことが起こっていて尺も98分とコンパクトなので退屈しない。

最後に「母へ」と出て、これやっぱり母と息子の話がメインだったんだなと思った次第。
いろんなエピソードが混ざってたけど。

マリオ・カサス、アントニオ・デ・ラ・トレが「UNIT7」より前に共演していたので観てみたら意外と豪華キャスト。
監督はおそらくこの作品がトライベッカでウケて「バッドバディ」「トカレフ」を手掛けたと思われるパコ・カベサス。