日本では未公開のようであるが、『エール！』のエリック・ラルティゴ監督による恋愛コメディ映画。調香師として成功を収め、気ままな独身生活を謳歌しているアラフォーの男性ルイスが、母親と５人の姉妹からの結婚のプレッシャーをなくすために、金銭で雇った友人の妹を恋人として家族に紹介し、結婚式での婚約破棄を計画するというストーリー。主人公のルイスを演じているアラン・シャバが自身の構想を脚本化して、他の４人の脚本家による改変を経て、映画化された。元々はアラン・シャバ自身は出演する予定ではなかったが、エリック・ラルティゴ監督の依頼によって主演することになったとのこと。

ラブコメとしての出来もまずまずで、気軽に楽しんで見ることができる。映画全体がユーモアに溢れたハートフルな雰囲気に包まれていて、心地よい。映画の質を支えているのは、主演のアラン・シャバの秀逸な演技。さすがコメディアン。一方の、疑似恋人のエマを演じたシャルロット・ゲンズブールも、のびのびとリラックスした演技を披露している。少しはすっぱな女性を演じている彼女もなかなか良い。彼女がVHSビデオで見ている映画は『ムトゥ 踊るマハラジャ』。さらに、ルイスの母親役のベルナデット・ラフォンは貫禄十分。

なお、映画そのものとは全く関係ないが、Netflixの音声と字幕が大きくずれていて、とても混乱してしまった。なので、本作を十分に味わうことができなかった。フランス国内では興行的に大ヒットした作品なので、日本でもぜひ DVD 化してほしい。それがかなったらまた見たい。

（オランダ滞在中に Netflix にて鑑賞）