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ファーゴのtosのレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
4.1
素晴らしい映画。
俳優陣の演技が上手すぎて、物凄く魅入ってしまった。
ジェリー(ウィリアム•H•メイシー)はやることなすこと全部失敗する。それは運が悪かったのもあるが、元々の彼の性格の雑さ、信用の無さが招いたもので、因果応報である。無能な人間が何かを企てても失敗してしまう様は、見ていて腹が立つ一方でなんだか悲しい気持ちになる。
チンピラのゲア(ピーター•ストーメア)は、冷酷な殺人鬼として100店満点の印象を与えてくれた。
余計な言葉は発さず、穏やかにも見える彼の立ち振る舞いがかえって彼の不気味さ、何をしでかすかわからない怖さを助長している。相棒のカール(スティーブ•ブシェミ)の死体を粉砕機で躊躇なくバラバラにするシーンは本当に気持ち悪くて素晴らしい。関係ないが「亜人」の佐藤が粉砕機に自ら入るシーンがあるが、もしかしたらこれが元ネタなのかな?
カールは典型的なスネ夫タイプの嫌なやつで、目先の欲に目が眩み、すぐにカッとなる単細胞。逆にここまでクズだと清々しくて苛立ちすらしない。彼の顔の事を皆は「変な顔の男」と言うが、それはそれはでスティーブ•ブシェミに失礼な気がして一人で笑っていた。
コーエン兄弟の演出力はやはり素晴らしい。かなり丁寧な画面作りを徹底していて、隙がなく、観客の感情をコントロールをする術を熟知している。
画に無駄なものを入れないことが美学になっている。スリラー映画でありながら芸術的な側面も両立している。
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