むらた

誰も守ってくれないのむらたのレビュー・感想・評価

誰も守ってくれない(2008年製作の映画)
3.0
残酷な世の中、こんな世界で生きていく、それぞれの立場での正しい在り方とは……
到底答えの出ないような現実を突き付けられる作品。

少女二人の殺人容疑で逮捕された少年の妹(志田未来)とその子を守る刑事(佐藤浩一)。
容疑者家族と被害者家族。
被害者家族からして見れば突如大切な命が奪われたのを受け入れられる筈も無く、その犯人を育てた家族にまで憎しみが及ぶのも当然と思う。
だが容疑者家族とてあくまで犯人とは別の人間。容赦の無い糾弾に母は自殺に追いやられ家族はバラバラ、一生追われ続ける人生……こんな仕打ちを受けて容疑者家族は迫害されて当たり前なんて、本当にそんなことがあるのだろうか。
何故、何もしていないのに自分がこんな目に…。お母さんを返して、と嘆く15歳の少女の姿が見るに堪えなかった。

刑事(佐藤浩一)が昔関係した事件で息子を失った夫婦の思いも複雑で…辛かったです。
容疑者の妹もこの夫婦も刑事も、そして世の中で起こった殺人の被害者家族と加害者家族、それぞれが死ぬほど辛い思いを抱えてそれでも生きていくのは想像も出来ないほど大変なことだろう。それでも、だからこそ、残された家族を守り支えることができるのはその家族なのだ。
辛いけど最後にほんの少し、希望も見える終わり方だったのが救われました。


主題歌のリベラの「あなたがいるから YOU WERE THERE」は公開当時予告で初めて聴いた時から大好きで普段もよく聴いている。美しくも儚げな歌声がとても胸に響きます。
むらた

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