このレビューはネタバレを含みます
タイトルやあらすじからよくあるB級ゾンビものかと思ったら、予想以上に面白いゾンビパニック映画でした。
一年前に妻を交通事故で亡くした主人公マネルは愛猫ルクロと共に暮らしていたが、ヨーロッパ全土に感染症が広がっているというニュースを見る。
夫が軍に勤めている姉ベレンから、軍の命令で今夜カナリア島に向かうからマネルも翌日の飛行機で来るように言われる。
空港に向かったが搭乗直前で全便欠航。軍による住民の避難が始まるも集団感染を警戒するベレンからは家にいるように言われ、マネルは籠城することにする。
二週間後、食料が尽きたマネルは外に出て食料を探し始める。夜、ラジオで生存者が集まってカナリア島へ行くという呼び掛けを聞き、マネルはルクロと共に港へ向かうことにする。
雰囲気はあちこち移動するドーンオブザデッドという感じ。空気感染はせず、感染者の血液や唾液等が体内に入って感染、数分で発症する。非常に狂暴で健康な人間を目視する、または音に反応して寄ってくる。走って追ってくるタイプなので、集団になると恐ろしい。
一番印象に残っているのはガブリエラとのシーン。
お隣さんのガブリエラが車椅子故に家族に置いていかれ、港に一緒に行こうと言うマネルの負担になるまいと自殺してしまうのは悲しいけど責められない。マネルは大丈夫だと言ったけど、近いうちに置いていくような事態になるだろうことをガブリエラは身に染みてわかっていた。ベッドで安らかな顔で横たわっている姿は最後まで人間だった。
ヘリで脱出するために病院に辿り着き、電波が復活してベレンからのカナリア島に行ってからのメッセージがまとめて届く。
ここで段々島の様子が悪くなっていくのを見せられるかと思ったらそうじゃなかった。
続きを見る前にマネルと操縦士が逃げてきた船の船長達ロシア人の集団が追ってくる。
病院にいたシスターが犠牲になったけど、マネルと操縦士、医者と三人の子供達はヘリで脱出する。
いつの間にかマネルと操縦士がアイコンタクトで意思疎通するほど信頼関係ができていて良かった。マネルはこの人にかなり助けてもらっていた。全然名前覚えてないけど。
ようやくカナリア島の近くまで来たところで、ベレンから電話。ヘリで向かっていることを告げると来てはいけないと必死に訴えられる。そこで戦闘機がヘリを追い越してカナリア島へ向かっていくところでエンド。
多分島にも感染者が出て、殲滅されるんだろうなと予測する。ここも安息の地へ辿り着いたと思ったら、そこも既に感染者達で溢れていたドーンオブザデッドの展開を彷彿とさせる。
こう思うと映画のアイアムレジェンドはかなり救いのある終わり方だったんだな、と改めて思う。
ゾンビ映画として奇を衒ったところはあまりないけど、全体的に緊張感が続いて最後まで飽きずに観られる良作でした。
主人公が抜けているところがあり気になる部分もあるが、最後まで猫を見捨てず一緒に生還するので安心です。
もし続編が作られるなら観たい。