チェーンソー殺人鬼に彼女を誘拐された男の奮闘を、歌や踊り、そして血みどろスプラッターを交えて描いた一本。監督のマラン兄弟が10年近くかけてコツコツ作り続けた本作は、フィルム撮りの自主めいた手触り、泥くさいユーモアも含めてピーター・ジャクソンの『バッド・テイスト』(1987)を想起させる。2時間と長めなのが難点だが、そこも含めて監督のこだわりか。絶妙な垢抜けなさと、ちょっとシュールな世界観は、初期シュリンゲンズィーフや『Bread and Circus』(2003・未)にも近いかも。90年代アルバトロスVHSのラインナップにピッタリと収まりそうな一本。