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ゴダールの決別のsonozyのレビュー・感想・評価

ゴダールの決別(1993年製作の映画)
4.0
RIP ゴダール 1993年の作品。
原題『Hélas pour moi(≒ 私のために、ああ)』
邦題も原題も意味は分かりません。笑

アブラハム・クリムトという男がレマン湖のほとりの町にやってくる。彼はシモン・ドナデュー(ジェラール・ドパルデュー)とその妻ラシェル(ローランス・マスリア)の居所を探し、本にまとめるための物語を買いに来たのだ(= 二人が経験した出来事についての調査)。

貞淑な妻ラシェルが神父に「肉欲のもろさを知った」と告白する。
少年と女性が立つホームに列車が通過した後の停車。(リュミエール兄弟『ラ・シオタ駅への列車の到着』のオマージュ?)。
下車してきた若い女子たちの一人オンディーヌを引き止める怪しい男二人(モスグリーンのコートとハット姿の“神”と、その弟子のマックス)。いきなりマックスが彼女のスカートをめくりお尻チェック?“神”が「マックス、今度にしろ」と止めるというどうみても犯罪行為!笑;(オンディーヌを“神”が狙うラシェルと勘違いしたのか?)
・・・etc

本題としては、一晩家を空けるといって出かけたシモンが早く帰宅し、ラシェルは何故予定より早いのか、いつものシモンではないと不思議がる。
実は、“神”がラシェルと寝るためにシモンに乗り移っているのだが、ラシェルはそうと気付きつつもベッドを共にしてしまう。。的な流れ。

ただ、他にもユニークな登場人物やシーン、引用されるテキストなどが複雑に絡むゴダールならではの“複雑系”?展開なので、ラストまで掴みどころのないまま観終える感じですが、映像的な魅力やサウンドデザインなど良かったです。

ギリシア神話の神ゼウス(不倫大好き男?)が貞淑な人妻アルクメーネーと浮気をするエピソードがベースとのこと。
取材に来たクリムトが最後に「あのことは映像と物語を超えたところで起こった」と語りますが、観る側の理解を超えたこんなストーリーを紡ぐ当時60代前半のゴダール監督、さすがです。
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