れおん

セプテンバー5のれおんのレビュー・感想・評価

セプテンバー5(2024年製作の映画)
3.8
ミュンヘンオリンピックから生中継です。競技は継続中... しかし競技場付近で9人の選手たちが、人質となっています。選手村から聞こえてきた銃声。警察の発表では、武装したテロリストがイスラエル選手団を襲ったという。本部から連絡が入る。報道が引き継ぐ、スポーツには手に負えないだろ。事件現場から100m圏内、中継出来るのは俺たちだけだ。俺たちの報道だ。我々が報じる。

ABCによる世界初のテロ生中継、実話に基づく物語。ティム・フェールバウム監督。モリッツ・ビンダー、ティム・フェールバウム、アレックス・デビッド脚本。

歴史的中継を劇場で目の当たりにする。報道のあり方を問われる。ただならぬ緊迫感が刻々と増幅するように工夫されている演出とスムーズで聡明な脚本。まるで演者一人ひとりが本当に生中継をしているかのように、サブコンの切迫している空間が写し出される。低予算かあえてか、生々しい「現場」が切り取られない。彼らとともに我々も、映像と言葉だけの世界で想像する。

命の危機にある人がいるなら、それを報道するのが責任だ。1972年9月5日から現在に至るまで、各人に各々の正義はあれど、報道の使命は普遍的である。
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