カサイ

名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)のカサイのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

観た後は何だこれウンコォ!って思ってたけど、よく考えたら近年のコナン映画よりもレベル高かったなと思った。

しかしまぁ意味わからんところは結構あった。
まず長谷部はいらない。原作に逆輸入したいがために出した感が強すぎる。
犯人も噛みちぎられた手袋そのままに現れるドアホだし、諸伏は死ぬ直前までことわざを言う異常者だった。ことわざしか喋れない代わりに、分厚い氷を落下の勢いでブチ破っても無傷という鋼鉄の体を得た可能性がある。
そしてコナンはついにスケボーなくても瓦礫さえあればやっていけるようになったみたい。
大和勘助の死亡演出ももう少し早くやった方が良かったと思う。死んだ→犯人分かった→推理→生きてました、じゃあちょっと展開早すぎて大和死亡を噛み締める暇がない。

オリジナルキャラクターも魅力が弱いというか、説得力がない。
というのも、大友を良いやつに描きすぎだと思う。もちろん反省したから、といえば無理筋ではなくなるが、執行猶予3ヶ月の間にそんな反省するだろうか。そもそもそんなヤツがなぜ強盗なんてしたのか、なぜ仲間を売るような真似(しかもおそらく自己保身のために)をしたのか。キャラの行動に一貫性が無かった。
マキさんが自殺に至るまでの過程も弱い。驚いて工具箱落として中の刃物が刺さって選手生命絶たれて自殺となると、ちょっと犯人との因果関係薄すぎるかな。もう少し直接的な原因で自殺してたらより説得力があった。フィクションなんだからそれくらいやっても良いと思うけど。

そして一番不満なのは小五郎の扱い。あんなに小五郎を強調した宣伝をしてたのに箱をひらけば銃を撃つだけという始末。せめて推理に多少なりとも貢献するか、小五郎も良いところまでいってコナンが最後に仕上げるという感じなら納得できた。
アソビジャネンダしか言ってないじゃないか。
まぁでも小五郎が銃の腕前がスゴイっていう要素をやっと満足に描写されたのは嬉しかった。

結構ボロカス言ってるけど勿論良いところも沢山ある。特にメインキャラ達のストーリーは結構ちゃんとしてた。
高校生どものガキくさい恋愛じゃなく重厚感のあるアダルティックな雰囲気がとても良かった。特に車内で上原と大和が話すシーンは演出込みで良かった。車外では自然の環境音が響き、車内では暖房の音だけが響いているあの演出では、実際にその場にいるかのような強い没入感を抱かせられた。
ED後の安室も公安の危うい正義という一面をよく表していた。ゼロの執行人を観ているとまた味わい深くなる。
全体的にレギュラー陣にキャラ崩壊がなくてとてもとてもとても良かった。嬉しい。
最近のコナン映画にありがちな「子供向け」感の強いコメディパートが少なく、無駄に派手な展開がないのも良い。
また、色彩にもこだわってるなと感じた。

細かい不満点はあるけど、致命的な欠点はなく、良いところも沢山ある。
僕はオリジナルキャラの魅力や映画としてどうかを重視してるからこうなってるだけで、コナン映画として見たら確かにここ数年では一番質が高かった。面白さの波は穏やかだけどコンスタントに面白い展開が続くという印象だった。
また、過去作のオマージュや小ネタ、原作ゲストキャラの再登場などファンが嬉しい要素も多々あった。
何回か見たらまた印象が変わるスルメ映画な気がする。
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