のり

ボウリング・フォー・コロンバインののりのレビュー・感想・評価

3.8
マイケル・ムーア監督がアメリカに蔓延る銃問題を追求していくドキュメンタリー。

中心となる題材は高校と小学校で起きた銃乱射事件でその関係者へのインタビューを軸に話が進む。実際の事件の監視カメラからの映像や通報の音声など日本人からしたら貴重なモノも見る事ができた。
〝銃国家アメリカの歴史〟が紹介されるアニメの挿入やアメリカが近年幾度となく関わった軍事活動の実際の映像、銃社会と根底では結びついているかもしれない話題となったニュースなど、アメリカを幅広く知るきっかけにもなり、自分は興味を惹き立てられた。

銃問題に対しては興味を持ったと同時に謎が深まった。アメリカ人が銃を捨てられない理由は近隣に潜む危険、暴力の歴史、人種問題、貧困、国民に恐怖を扇動するメディア?。これを見ても答えは出ないし、ムーア監督自身も答えは出していない。この問題に言及しただけでも賛美が与えられるべきで、少しでもこの問題について考えてみる人が増えれば、この作品は大いに意義がある。

銃は悲劇を生むし、自分も銃規制に賛成だが、ムーア監督がNRA会長のヘストン氏や銃製造会社や銃販売をするスーパーマーケットの職員などに対して徹底して否定的に描いていたのはいただけなかった。正しいことを言ってるのかもしれないが価値観の押し付けにも見えるし、国民を扇動するテレビ局と同じ穴のムジナになり兼ねない。問題提起型のドキュメンタリーって難しいね。
のり

のり