寝ろ君

ボウリング・フォー・コロンバインの寝ろ君のレビュー・感想・評価

3.9
先日「エレファント」を観たので、長年棚差しのままだったコロンバイン高校事件に関するドキュメントを続けて。

舞台は銃社会アメリカ。「なぜアメリカ人は銃を持ち、そして罪を犯すのか」が大きなテーマ。人間が集まり組織を作ると、どうしても生じる唸りや流れがあるが、マイケル・ムーアはそれらに対して警鐘を鳴らす。皮肉を含んだその音はしかし、どこかユーモラスでもある。
彼の活動はとても遅々としたものに感じられるが、誰もが素早く自分の取り分を掠めとる現代においては、誠実な姿勢にも取れる。

テレビは不安を掻き立て、人々はそれらに対して備える、それにより消費と生産が行われるといったマリリン・マンソンの言葉が印象に残った。彼はものすごくクレバーだな。
またブッシュ政権下での貧困問題が、軍事外交問題が生じたことにより棚上げになったなど、今の日本とも重なるものを感じてしまい複雑な気分になった。
作中にレイシズムと言った言葉も登場しドキリとするなど。2002年の作品だが、当時より情勢が酷くなっていないことを祈る。
もう少しカナダや他国の制度について掘り下げて欲しかったが、2時間だと無理か。あくまで考えるキッカケとなることがドキュメンタリーの意義だろうし。作中にチラっと出たエンロン事件も気になってきたな〜

高校生くらいから理解できると思うので、若い人にもぜひ観てほしい。
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