【ゆきゆきて、冤罪!】
冒頭部でいきなりヒッチコック自身の解説から始まる実話モノ。「世にも恐ろしい物語を皆さんにお見せしよう🤫」が気合入っている。
主演のヘンリー・フォンダ演じる薄幸な男が強盗に勘違いされ収監される恐怖をドキュメンタル・タッチで描いたヒッチコック全盛時のニューロティック・サスペンス。
ハードなモノクロ映像が主人公の辿る不条理な道行きを直接的に暗喩してるような雰囲気があり、じわじわと恐怖心を煽る。鑑賞後は人間不信っぽくなる問題作。🤯
警察の汚職を徹底批判した映画としても秀逸で、周防正行の『それでもボクはやってない』もこれくらいインパクトある映画にすりゃ良かったのに…とつくづく思う。
夫のヘンリー・フォンダを助けようと奔走する妻役のヴェラ・マイルズがしっかり者の奥さんを好演してそちらも見もの。
また夜の都会の風景に被さるバーナード・ハーマンのスコアも効果的でのちの『タクシードライバー』を想起させる。全てのサスペンス映画の手本とも言うべき秀作に仕上がっており、さすがはヒッチ先生である。🤔🤔🤔