天界の手違いで主婦としての一週間を生きることになったキャリア女性が、家族の愛や日常の尊さに目覚める姿を描いた、ホー・ウィディン監督のハートフル・ファンタジー映画。オム・ジョンファとソン・スンホンが共演した韓国映画『ミス・ワイフ』のリメイク。

依頼人のためならば非情な弁護に徹する、キャリア優先で生きてきた独身の女性弁護士リー。ドイツ留学を間近に控えて交通事故を起こしてしまう。気が付くと人々の運命を司る「運命の駅」という場所にいて、そこの駅長のおじさんから、手違いで早く天に召してしまったと告げられる。その償いとして、別人として一週間過ごしてくれれば、死亡を取り消して元に戻すとの提案を受け、受諾する。別人として地上に下りてきたリンは、夫、二人の子供と暮らす、キャリアとは無縁の専業主婦になったことに戸惑うが、少しづつその生活に慣れていく。

一言で言うと、涙あり笑いありのとても素敵な映画。前半は、バリバリの独身キャリア女性と家族を支える専業主婦というギャップに戸惑う姿がコミカルに描かれるが、夫や子供たちと心が通じ合うようになると、徐々に心温まるドラマに変わっていく。子供への愛情に基づくストーリー展開は予想の範囲内であるとは言え、実はストーリー全体の枠組みが主人公の過去と関係するという隠し味も用意されている。もしかすると結末は『ミス・ワイフ』（未鑑賞）と異なるかもしれないが、原作の良さがそのまま活かされているのだろう。

そして、本映画の最も重要な見どころは、主人公を演じたグイ・ルンメイの演技である。キャリア女性を演じることはおてのものだろうが、専業主婦のときにみせるコミカルな演技はおそらく初めてだろう。髪型やメイクなどによる演出のおかげもあるだろうが、コメディエンヌとしても十分にやっていけるほどの、新たな一面をみせてくれる。日本未公開なのが残念であるが、私のような彼女のファンにとっては必見の作品と言える。