コータ

暴力脱獄のコータのレビュー・感想・評価

暴力脱獄(1967年製作の映画)
5.0
【ATB第10位】
〈現代の神話〉
後の『カッコー』やらに注ぐ自由の流れ。その少し川上にある本作。『俺たちに明日はない』『卒業』と同年に公開された、アメリカンニューシネマの源流。

ポール・ニューマン演じるルークは、何にも屈しないタフな一匹狼。彼はその不屈の闘志で囚人仲間の人望を集める。看守という権力、規則に支配され、自由を制限された囚人による反抗の試み。

人間は自由の刑に処せられている。
追い求めたはずの「自由」に苦しめられるルーク。自由という選択につきまとう孤独と責任。

道路舗装の刑務作業。途方もない、何の意味もない苦役を、ゲームのように楽しむことにしたルーク。「楽しむこと」は、無価値な作業に、終わりなき現実に、一つずつの納得を与える。

主人公・ルークを神の子・キリストになぞらえながらも、神の不在を語る。この世に神などいないとしても、「信仰」は形を変えて生き続ける。神の代替になり得る確かなものを求める信仰。

ジョージ・ケネディによって語り継がれる現代の神話。
コータ

コータ