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暴力脱獄の速のネタバレレビュー・内容・結末

暴力脱獄(1967年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい映画。
これまで自分は、
「そうはいっても映画はいろいろな『絵』を見せてくれなきゃ物足りない」と思っていたが、
それを撤回せざるをえない場合もあるようだ。

ポール・ニューマン特集で映画館で観た。
痛めつけられながらも芯を失わない主人公・ルークに惹かれる。
芯と書いたが、それは物理的に硬質な芯ではなく、縛ろうとするなにかから逃れようとする自由の精神だ。いや、自由の精神という言い方ではまだ何か固すぎる。

ルールに縛られないこと、
不可能にしばられないこと、
刑務所の手管に屈しないこと、
神にひざまずかないこと、
それらは、損得を越えた自由のための自由、
ただの自由だ。

「言葉が通じない男だ」と言われたことを逆手に取り、
「言葉が通じない男だ」と自ら名乗る。そして撃たれて終わるのだ。
この映画で刑務所側はほとんど何も失っていない。
それでもルークでありたいと思う観客を生むから、「暴力脱獄」は美しい。
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