・ラブスイートでの最初の衝突 エレオノーラは指輪を見つけ、激しく問い詰めます。 Eleonora: 「Io mi devo rendere conto di chi c’ho accanto, anzi di chi mi sono sposata.」 (=私は隣にいるのが誰なのか、いや、誰と結婚したのかをちゃんと確かめなきゃいけないのよ) この一言で、映画全体の“長い夜”が始まります。
・タクシー運転手との会話 彼らを乗せるのは、どこか哲学的なタクシー運転手(フランチェスコ・パンノフィーノ)。 Tassista: 「Non siete più due persone ma una cosa sola.」 (=君たちはもう二人じゃない、一つの存在なんだ) 結婚の意味を皮肉とともに突きつける場面で、夜のローマを漂うように進む車窓の映像が印象的でした。
総評 『Finché notte non ci separi』は、典型的なハッピーな新婚物語ではなく、結婚初夜にして早くも“危機”に直面する二人を描いた一夜の寓話。 キャストの熱演とローマの夜景が支えている一方、脚本の弱さやトーンの揺れが惜しい作品でした。 それでも――「結婚とは、二人がひとつになることなのか、それとも二人のまま歩いていくことなのか?」という問いを、観客に残してくれる映画だと思います。