福福吉吉

最後の忠臣蔵の福福吉吉のレビュー・感想・評価

最後の忠臣蔵(2010年製作の映画)
4.5
赤穂浪士の討ち入りから16年、四十七士の中にあってただ1人の生き残りである寺坂吉右衛門(佐藤浩市)は、大石内蔵助より討ち入りの真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよとの使命を受けていた。浪士の17回忌のため、京に上った寺坂はかつての同志である瀬尾孫左衛門(役所広司)を見つける。討ち入りの前夜に突如逃亡した瀬尾にも汚名を背負ってでも成し遂げるべき使命があった。

映画やTVドラマでよく取り扱われる「忠臣蔵」の後日談として描かれており、旧来よりある忠臣蔵のストーリーに新鮮さと清廉さを加えたものになっていて最後まで興味を欠くことなく観ることができました。

この作品の背景として、四十七士として死ぬことができなかった者たちの悲哀と苦しみを描いており、武士であるがゆえに誇りと意地が残った者たちを苦しめていました。この点は時代劇ならではものであり、「生」を善とする現代劇と違った「死」をもって主に報いる武士の生き様を描いた作品でした。

瀬尾孫左衛門は商人に身を落とし、可音という少女とともに隠れて生きており、食事や裁縫などを勤しむ庶民の生活を暮らしていながらも、どこか必死さと苦しさが垣間見えて彼が背負ったものの重さを感じることができました。

時代劇が苦手な方は観ない方が良いと思います。役所広司演じる瀬尾孫左衛門の生き様は時代劇の武士でしか肯定できないと思います。
時代劇が好きな方には是非とも観て頂きたい作品です。「時代劇とは」「武士とは」というものの魂に満ちた作品だと思います。

鑑賞日:2022年12月19日
鑑賞方法:BS/CS BS日テレ
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