クイニーアマン

薬指の標本のクイニーアマンのネタバレレビュー・内容・結末

薬指の標本(2004年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2021/05/09
ディアーヌベルトラン監督
原作 小川洋子さん「薬指の標本」
2005年フランス映画
キャスト
オルガ・キュリレンコさん(イリス)
マルク・バルベさん(コスタ)

イリスの純粋で何色にも染っていない美しい表情そして目で見て分かる妖艶さを序盤から早速感じることが出来ました。オルガ・キュリレンコさんの品のある表現力は女性ならではの美しい繊細な心があるからこその表現力だなと感じます。僕と比べてみてしまったところ、僕の心はここまで美しく慈しみ深い表情を表現することが出来るのかと凄く考えさせられる作品でもありました。
また、この作品でのキーポイントとも言えるのはコスタが与えた赤い靴でした。この赤い靴もよく見ると足首を二重にして巻き付けて履くタイプのもので、スタッフさんや監督が赤い靴を選ぶ段階でこの靴を考えた趣旨もより「束縛」という意味が込めてそれがささやかに感じ取ることが出来るために紐をまきつけるタイプのものを選んのではないのかなと思いました。
何色にも染っていない彼女がこの赤い靴によってコスタに少しずつ少しずつ染まっていく、撮影としてはカットも沢山あり撮影期間も空いたりするはずなのに映像でみると本当にごく自然に染まっていくのが分かりました。役者として撮影に対する心構えが素晴らしい方なのかなとも思いました。コスタに惹かれ、嫉妬し、靴を脱ぎ捨てて作業場へ向かうなど、男性も女性も持つ、束縛される側の心の窮屈さがあります。その窮屈さが実は意外と心地よかったりする、僕も過去の経験でそういう経験があったため分かりますが、束縛されて自由が制限されること自体客観的に見たら凄く嫌悪感を抱いてしまいますが、ふとした時に「その安心感」といいますか、それを感じることがありました。一種の依存でもあるなとも思いましたし、そういったリアルな心の動きを見事に表現されていたので、僕としては原作を見ていないけど素晴らしい作品だなと感じます。
原作も読んで、またこの映画を見たらどんな気持ちになるのか分かりませんが、小川洋子さんのこの原作も読んでみたいと思いました。