ゆうひ

西の魔女が死んだのゆうひのネタバレレビュー・内容・結末

西の魔女が死んだ(2008年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

私にもこんな田舎があったらな!

初めて、自分が祖母になった時どんな役割を果たせる人間になりたいか、考えた。
このおばあちゃんの真似はできないけど。

丁寧な暮らしの描写が大好き。憧れる。
子どものころに読んだ「さやかのふしぎな六日間」という本を思い出した。

ずっと流してたいくらい穏やかな気持ちになる映像だけど、内容は愛や若さゆえの苦しさと切っても切り離せないものだから、ずっと爽やかな気持ちでばかり見てはいられない。

私の家系も、海でのエピソードみたいなことは無いにしても、予知や千里眼の現実的バージョンみたいな勘が強くて、どういう理屈かは説明できないけど見えないことがわかったりするので、おばあちゃんの出来ることと出来ないこと、落ち着いて乗り越えられることと悲しいこと、自分の直感を信じることと取り憑かれることとの違いが、身をもってよくわかる。

この孫のように、そんなおばあちゃんに頼るばかりで自分ではまだまだ何もできないのに、おばあちゃんに達成できないことがあると「自分だってそうじゃん」くらいの態度を取ってくる人がいるのも本当わかる。人の指摘をする前に自分のことを省みないといけないのに。(けど中学生でそう簡単にはいかないな)

愛ゆえに出来る限りの言葉を尽くしているのに、そう来られた時は本当にただ言葉を失う。呆れてということではなく、声をかける時ではないから黙るしかなくなる。その判断に揺らぎはなくても、ひとりの人として、心は曇るよね。それをぐっと耐えて、そうかもねと受け入れるおばあちゃんの忍耐強い愛がすごく伝わってきた。

自分の食器も下げずあんなお別れをする孫は、ほんとガキで残酷で最低だと思った……けど、自分のことを思い出してみると、亡くなった伯母と最後に会ったのがいつで、どんな雰囲気だったのかも思い出せない。それを思うと、こんなにしっかり覚えていて後悔したり学んだりできただけ偉いのかも。若者にとっては、そうなのかもしれない。年老いてほとんど全てのことに目が開いてきて、もう穏やかに過ごしたい精神で、中学生の孫と向き合うのは、すごくしんどいことだと思った……。

まぁそれもこれもキム兄が度を越して非常識だったのがキッカケなわけだけどw
私はキム兄のファンだったことがあるから、好きだな〜と思って見てたけど、この役、他の人だったらマジしんどかったwそれくらい目障りだったw
それくらいでないと、少女の暮らしに立ちはだかる壁として成立しないのかもしれないけど!w

母(りょう)はなんか、もうちょっと大人になれと思った。生活スタイルは人それぞれでいいんだけど、あのおばあちゃんの娘にしては、なんか年齢のわりにトガってるw

大森南朋(父)は、これは、演技うまいのか……?みんな世界観に合わせて少し芝居がかった雰囲気を絶妙に出していたけど、父だけはなんか行き過ぎててちょっと……というかキャスティング自体わからん。
でも調べたら主演男優賞とかも取ってるし、逆にこの人の他のジャンルの演技も見てみようと思った。
ゆうひ

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