ヨーテボリ映画祭にて。

フランスとスペインの国境を流れるビダソア川で遭難している2人の難民を目撃したアンダイエ(🇫🇷)に住むスペイン人の姿を追いながら、二国の複雑で独特の歴史を持つフェザント島がある国境付近の文化と言語の混合と不寛容な社会をあぶり出す…みたいな話。
ミステリーっぽい雰囲気だったが静かなドラマだった。

移民難民問題を抱えている各国国境はピリピリしてる。それもわかるが、やっぱりこういうドラマを見ると線引きが厳しすぎるのと自国の利益最優先で命が二の次になっているような気がして、人間性を失いつつあるのではと思ってしまう。

遭難している難民に対するライダとサンボウの反応が対照的。人としての信念をもとに行動するライダに比べてサンボウのほうが冷酷に見えるが、彼も非白人で移民の子供であることを考えたら、公的機関の神経を逆撫でするようなことは出来なかったのだろう。
無意識のうちに根付いている感覚なのだと思う。
土地的歴史的背景をじわじわあぶり出しながら、両者がともに社会に対しささやかな反旗を翻すような終盤のシーン良かった。

エンドロールでビダソアでは多くの難民が命を落としていると知る。
そういう悲劇に対する監督の怒りの映画なのかも。

ちなみにビダソア川にあるフェザント島は350年以上たった今もスペインフランス二国が半年毎に領有権を交代で持ち合っている状態が続いていて、二国の平和の象徴だが基本的に立ち入りは出来ないらしい。