富樫鉄火

花ちりぬの富樫鉄火のレビュー・感想・評価

花ちりぬ(1938年製作の映画)
4.5
#90 石田民三没後50年@フィルセン
まさか生きているうちに、このような特集上映にあたるとは夢にも思わず、興奮気味でフィルセンに突入。
とにかく音声はボロボロのうえ、本格的な京の廓こどばの連発で、以前に観たときは、なにがなんだかわからなかったのだが(あれは、東宝のプリントだったのか?)、今回は、英語字幕が入っていたせいで(シンプル字幕で、ほとんど誰でもわかる)、内容がよくわかった。
要するにこの映画は、蛤御門の変を廓の視点で描いた戦前の実験映画で、「全編が室内(お茶屋)」「女優(全員、芸妓)のみ」「男は声のみ」の、当時としては「前衛映画」。
芸妓たちのこまかい仕草や会話、生活ぶりなど、(あたしはナマで見たことないが)おそらく、こうだったのだろうとの説得力抜群。
民三おとくいの同性愛っぽいシーンもちゃんとある。
20歳の花井蘭子さん、すばらしい。
水上玲子も、最高。
昭和13年、国家総動員法発動の年につくられた、フェミニズム反戦映画の傑作。
いつか、デジタル・リマスタリングしてほしい。
富樫鉄火

富樫鉄火