みぱちょ

メアリー&マックスのみぱちょのレビュー・感想・評価

メアリー&マックス(2009年製作の映画)
5.0
実話を元にした映画で、実写で撮っていたら内容が重すぎてただただ暗い映画になってしまいそうだけど、クレイアニメにすることで暗さが緩和されてより多くの人が抵抗が少なく見れるようになっていると思った。ナレーションは淡々としていて皮肉交じりで、そこにコメディ要素があって救いになる。終わり方も余韻を残すというか、モヤモヤチクチクしながらいいものを観たなという気分になった。きっとこの映画を観てハッピーエンドに感じる人もいるかもしれないけど、なんとなくメアリーにもマックスにも自分の感情を投影できる部分があって、だからチクチクを感じて、チクチクがあるからこそ、心に引っかかって色んな感情が引き出されたんだと思う。
世の中には色んな人がいて、自分から見たら欠点に見えても他人から見たらそうではないこともあって、その逆も然りで。生まれ落ちた境遇は変えることは出来ないかもしれないけど、目の前に降りかかった事象に何を見出すかは自分次第で変えることができて。大切な人が自分自身の欠点や嫌いな部分を受け入れられなくて悲しんで苦しんでいても、私はそれを含めて全部全部受け入れて大好きだよ一緒にいられて幸せだよって伝えられる人になりたいと思った。この映画を観て幸せな気持ちになることは無いのかもしれないけど、自分の人生に幸せを見出そうと思えた。生きていくことが考えることが誰かと関わることが苦しい時にみたくなって、この映画はその苦しさを取り除いてくれる訳では無いんだけど、全部ひっくるめてそれでいいんだよって寄り添ってくれてるように感じる。

今置かれてる状況や経験が一層この映画への感情を高めたんだと思う。歳を重ねて色んな経験をして、感性がより豊かになったときにまた何度でも観たいし、感想の変化があったらそれは楽しみ。もしかしたら、この映画に出会うために色んな経験をして、色んな映画を観ていたのかもしれない。そのくらい大事な映画。