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ゲームのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ゲーム(1997年製作の映画)
4.0
サンフランシスコ。ニコラス(マイケル・ダグラス)は大富豪だった父の莫大な資産を引き継ぎ、投資家として成功していた。 が、妻と離婚した後は大邸宅にひとりで住み、生活は規則正しく「遊び」とはほとんど無縁の毎日。48歳の誕生日。彼の父親が投身自殺をした年齢だ。
弟のコンラッド(ショーン・ペン)と久しぶりにレストランで再会したニコラスは「CRS」という会社の紹介状をプレゼントされる。凄い体験をしたとしか彼は言わない。
偶然CRSのオフィスを見つけるニコラス。重役のファインゴールド(ジェームズ・レブホーン)はCRSの商品はゲームだという。
疑念を抱きながらも彼はテストを受けた。帰宅したニコラスは玄関の前でピエロの人形を発見。
頭をよぎる自殺した父親の死体。テレビのニュースを見ているとキャスターがニコラスに話しかけてくる。
コンラッドと待ち合わせたレストランでは約束をすっぽかされ、ウェイトレスのクリスティーン(デボラ・カーラ・アンガー)には服にワインをこぼされる。
ウェイターから「彼女を逃すな」という書き置きを渡されたニコラスは彼女を追いかけ、ふたりはちょっとした冒険をする。
奇妙な出来事の連続にパニックに陥るニコラス。コンラッドは「奴等にすべて奪われた」と怯え、ニコラスもCRSの仲間だと言って去っていく。
ニコラスが乗ったタクシーは海に飛び込み、彼は必死で脱出。
警察に助けを求めるとCRSのオフィスはもぬけの殻。クリスティーンの家を見つけて問い詰めると、黒づくめの男達が銃撃してきた。彼女はCRSは大掛かりな詐欺組織で、コンラッドや弁護士もその仲間だという。
確かめてみると彼の口座には一銭も残っておらず、ニコラスは彼女に薬で眠らされた。気がつくとそこはメキシコの墓地。彼はやっとのことでサンフランシスコに戻るが、すでに家は競売にかけられていた。
復讐を誓うCRSにニコラスは、ファインゴールドがテレビに出ていたことから役者だと知り、彼を人質にCRS本社へ銃を手に向かう。
そこにはゲームを始めてから彼が今まで会った人間がみんないた。すべては仕組まれていたのだ。
CRSの警備員が銃撃し、流れ弾に当たったファインゴールドは倒れる。
クリスティーンを捕らえたニコラスは屋上へ。逆上した彼は銃を向ける。クリスティーンは青ざめ、これも全てゲームなのだと訴える。
全てはコンラッドが誕生日のプレゼントに仕掛けた大掛かりなプレゼントで、扉の向こうではシャンペンを手にした彼が待っているのだと。
信じられない彼は扉が開くと銃を撃った。果たしてそこに立っていたのはタキシード姿のコンラッド。実の弟を撃ち殺してしまった彼はショックのあまりビルから飛び降りる……
しかし、それもまたゲームだった。彼が着地したのは巨大な救命マット。みんなが誕生日を祝うために集まっていた。血糊をつけたコンラッドが笑いながら言う。
「兄貴、誕生日おめでとう」。
デヴィッド・フィンチャー監督が仕掛けるゲームに驚かされるサスペンス映画。
マイケル・ダグラス演じるニコラスの父親は、仕事ばかりで孤独過ぎで息子にも心を開かず自死した。ニコラスは父親のようになるのではと恐れながら、仕事一筋な孤独な男になってしまう。
弟コンラッドがニコラスにプレゼントするゲームの中で、ニコラスは救急病院のエレベーターやタクシーの中に閉じ込められ死にそうになったり、仕事も財産も奪われ追い詰められる。
ニコラスがゲームの中で知ったのは、仕事や成功や金より信じられる人との関わりや生きることを楽しむこと。
「クリスマスキャロル」サスペンス映画版か、質の悪い「モニタリング」のようなゲームは、他のデヴィッド・フィンチャーのサスペンス映画のような緻密さがなく荒々しい語り口だけど、大人の寓話としてなら楽しめるサスペンス映画。
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