EDDIE

マネーボールのEDDIEのレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
4.1
「今から荷造りしろ。インディアンスから君を買った」
アスレチックスのGMビリー・ビーンが獲得したのは優秀な選手ではなく、実績のないデータ分析者だった。

いやー、ブラピ。ゴールデングローブ賞助演男優賞受賞おめでとうございます!!
そんなめでたい日にはブラピ出演作を観ようと思い、劇場鑑賞以来の本作鑑賞となりました。

これはMLB好き、野球好きには堪らなく面白い作品。ちょっと事実と異なる部分はありますが、映画の脚色としてとても面白いです。
本作の主人公は実在のメジャーリーグGMビリー・ビーン。かつては高校生ドラフト1巡目1位指名で将来を期待された有力外野手でしたが、プロの世界では壁にぶち当たり期待通りの活躍ができませんでした。
そんな彼は引退後紆余曲折ありながらもオークランド・アスレチックスのGMに就任。ただし人気球団ニューヨーク・ヤンキースのように潤沢な資金があるわけでもなく、スター選手はより高い契約金につられ出て行ってしまうのが通例でした。
さて、そんな厳しい環境下でチームを勝たせなければならないビリーの役を、我らがブラッド・ピットが演じているわけですが、セリフ回しはワンハリ同様いちいちキザでカッコいいし、本作ではセリフ以外のところの細かい仕草がたまらなくいいんです。感情を揺さぶってきます。

今や一般的にもよく言われることですが、何か新しいことをやろうとすると後ろ指刺されたり、文句を言う者が現れたりと、とにかく信念と高い精神力が試されるわけです。
彼ビリーはピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)に可能性を見出し、インディアンスから引き抜き、彼の補佐として雇用。当時は斬新なデータに重きを置いた「セイバーメトリクス」にて、ネームバリューや実績では表せない選手の価値を見つけ、アスレチックスの予算でも獲得可能な選手で優勝を目指していくのです。

ヤンキースが1試合あたり140万ドルを費やし、対するアスレチックスは1試合あたり26万ドル。これだけの予算の掛け方に違いがありながら、シーズンの勝利数はほぼ同じなわけです。
今や本作で語られているセイバーメトリクス理論はより高みにいっており、データもより細かく、さらには試合の最中に打球の速度や飛距離まで瞬時にわかるようになっています。
本作でベテランスカウトたちが選手のクセや特徴を、自分たちの経験則をもとに語り合う場面があります。今や彼らの経験則だけでは勝てない時代になってしまっています(さすがに選手の彼女がブスだとかはいつの時代でも関係ない話ですが笑)。

時代の変遷と共に変わりゆくスポーツの見方というのを学ぶには凄く新鮮でいい作品です。
また本編の途中に挟まれるビリーの娘ケイシーの歌う楽曲がとても耳心地が良く、これがラストに良い形で幕を閉じてくれます。音楽の使い方も実にお見事なんですよね。

あとは、公開当時はあまり愛着がなかったので知りませんでしたが、本作でもキープレイヤーとなるスコット・ハッテバーグをクリス・プラットが演じています。今やGotGシリーズやジュラシックワールドシリーズでお馴染み、私も大好きな俳優ですが、本作でのちょっと初々しく若々しい感じは一見の価値ありです。

※2020年自宅鑑賞10本目
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