ぽち

小さな命が呼ぶときのぽちのレビュー・感想・評価

小さな命が呼ぶとき(2010年製作の映画)
3.4
エンタメとして成立させるためにかなり手が加えられてはいるものの、根底にある父親の愛情には感動できる作品。

そしてなんと言ってもスターオーラがもの凄いハリソンの演技を観るだけでも堪能できる。

研究以外はどうでもいいというちょっと壊れた科学者が、徐々に変わっていく過程を、少ない出演時間で見事に演じているのはさすがだ。

子供のために奔走する父親と、世俗とちょっとずれている壊れた学者の二人のキャラのぶつかり合いが今作の中心と言っていいのだが、実はこの科学者のキャラは完全なフィクション。
「クラウリーと会社設立した学者ウィリアム・キャンフィールドと、クロウリーが一緒に働いていた他の医師を合成したキャラクター」だそうだ。

想像してほしい。今作でハリソン演じる学者が普通の人だったら・・・・全く盛り上がらないストーリーになっただろう。
というか、今作中でも他の科学者に言われるが、「自分の子供さえよければいいのか」って思えるストーリーになってしまいそうだ。

今作が感動的で気分よく観られるのは、ほとんどこの学者キャラのおかげと言えるだろう。
という事で、ハリソンの名演技に集中して、細かいことは考えずに素直に見ると楽しめる作品。



余談。
ドラマとしてどうしてもクラウリー一家に感情移入してしまい、悪役的に出る科学者の事をクラウリー同様「嫌い」と思ってしまうのだが、彼の言っていることが正論。

今作では
臨床実験を幼児に限定→クラウリー激怒→他の病院に手を回す→社長激怒→科学者の助言でクラウリー退職で治療を受ける。
この「科学者の助言」が無いと、かなり自分勝手な強引な印象になる。

他の人に言われて「あ、その手があったか」だから許されるが、最初から自分の子供を救うために病院に手を回し、退職をして治療させるのは、計画的で卑怯な臭いがするし、「そのために他の子供が受けられない」というのは事実。

ほとんどトロッコ問題なのだが、それをうまく回避しているのは全部科学者のキャラのおかげだろう。
ぽち

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