半兵衛

魔人ドラキュラの半兵衛のレビュー・感想・評価

魔人ドラキュラ(1931年製作の映画)
3.5
全体的にはオーソドックスなクラシックホラー映画といった仕上がりではあるが、コミカルな冒頭から徐々に村の異様な雰囲気をにじませて観客の心を不穏にさせていく演出が上手いしベラ・ルゴシの吸血鬼も芝居がかった演技と独特の台詞回しが填まっていて人外となってしまったモンスターの迫力と悲哀を絶妙に表現していて古典ホラーを代表する一作として未だに語り継がれているのも納得した。

時代が時代のためか直接血を見せたりする描写は皆無ではあるものの、見せないことで恐怖を煽るブラウニング監督の演出が上手いのでさして気にはならなかった。あと狂乱した不動産業者や度々登場する気味の悪い動物たちに監督の趣味がよく表れている。

一番盛り上がるであろうはずの終盤のモンスター退治があっさり終わったのが物足りないし、ラストドラキュラの城の出口はそこじゃないのに何でそっちへ行くのかという終わらせ方も変だけれど闇の世界から抜け出して希望へと歩みつつある主人公たちを表現したいというのは伝わった。
半兵衛

半兵衛