Jimmy

日曜日には鼠を殺せのJimmyのレビュー・感想・評価

日曜日には鼠を殺せ(1964年製作の映画)
3.0
スペイン内乱の後日譚を、フレッド・ジンネマン監督が、人間どうしの思い・ふれあいなどを描いたドラマ。
ジンネマンの『ジャッカルの日』のようにハラハラするサスペンス映画ではないが、スペイン内乱のヒーロー(グレゴリー・ペック)、彼を狙い続けるスペイン側警察署長(アンソニー・クイン)、鍵を握る神父(オマー・シャリフ)という豪華メンバーによって、「誰がウソを言っているか?」、「警察署長が罠をかけるが、元ヒーローはどうするか?」など…観ていて次の展開がドンドン知りたくなる。
モーリス・ジャールの音楽も、このドラマを盛り上げる。

スペイン内乱時にゲリラのリーダーだったマヌエル(グレゴリー・ペック)は、内乱後に国境を越えてフランスに亡命し、それから20年の月日が経った。
スペイン政府側の警察署長ヴィニョラス(アンソニー・クイン)は、内乱から20年経っても、マヌエルを捕まえることだけを生きがいにしているが、スペイン国外にいるマヌエルに手出しができない。
そこで、警察署長は、スペインに残っているマヌエルの母親が重体となっていることに眼をつけて、「マヌエルが母の重体を知れば、スペインにやってくるだろう」と罠をかける。
しかし、母親は息子が罠にかかることを心配して、フランスに旅立つ神父(オマー・シャリフ)に「息子を来させるな」と託して息を引き取るのだが……。

映画の原題は『BEHOLD A PALE HORSE』であり、これは冒頭にテロップが出て「青ざめた馬を見よ。これに乗るものの名は死。黄泉がこれに従う……ヨハネの黙示録」という表記。
こういうテロップ見ると、冒頭シーンなどはイングマール・ベルイマン的に見えてしまう(笑)

しかし、観始めると、さほど観念的な描き方ではなく、普通に理解できる物語だったので良かった。
ただ、やはり気になるのは、この邦題の「鼠って誰のこと?」ということ。元ヒーロー? 警察署長? 密告者? ……観終わって思い返しても、誰だかわからない(汗)

警察署長の罠と知っていながら、母の元へ帰るヒーローが射殺されて、母親と並べられるシーンは名場面。
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