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12モンキーズのEDDIEのレビュー・感想・評価

12モンキーズ(1995年製作の映画)
4.0
人類を滅亡させるウィルスの拡散。秘密組織12モンキーズを探るべく未来から送り出されたジェームズ・コール。劇中に登場する動物たちの暗示とは。張り巡らされた伏線を回収していく巧妙な脚本に混乱をきたす。絶望と見るか、希望と見るかはあなた次第だ。

テリー・ギリアム監督が1995年に世に放ったSFサスペンス。ファンタジックな作風の多いギリアム監督ながら、本作は現実世界の荒廃を感じさせます。
特に近頃のコロナ騒ぎも相まって、本作は関心の高まる内容ではないでしょうか。

人類の99%がウィルスで死滅した未来からブルース・ウィリスがやってくるわけですが、99%って恐ろしすぎますよね。とんでもない伝染力です。
1990年の過去に送り込まれて、そこで出会うキーパーソンが2人。マデリーン・ストウ演じる精神科医のキャサリン・ライリー博士とブラッド・ピット演じるジェフリー・ゴインズです。
ブラピのゴインズはあまりにも狂気な役でしたね。いや、狂気というよりも思考回路が崩れているというべきか。
しかしながら彼の発言は至って冷静な部分が多く、彼の特異なキャラが先行して頭がおかしいと見えてしまうのでしょう。まぁ精神病院には収容されていますが。

それにしても本作は謎解き要素が楽しすぎます。しかも劇中たくさんの「?」が浮かぶので、ラストに向かうまでにどれだけ自分なりの解釈ができたかを考えるのも楽しいです。
鑑賞後に考察ブログもいくつか拝読しましたが、色んな意見があって鑑賞後も楽しめるのが本作の本当の面白さかもしれません。

特にキャサリンがブルース・ウィルス演じるジェームズ・コールに「あなたのことを以前から知っていたような気がする」と話す部分は、終盤にしっかりと回収されます。その後のキャサリンの表情が私にとっては未来の希望への暗示なのかなと感じてしまいました。

さらには映画のタイトルになっている「12モンキーズ」というキーワード。これの使い方が実に巧み。劇中にも“猿”を暗示するキーワードもたくさん散りばめられており、この秘密結社の存在に我々は躍起になって謎を解こうとしてしまうのです。

ただ私が劇中に「こいつ怪しいなー」と思った人物がまさに重要人物だったことには目を疑いました。
クライマックスの空港のシーンはやはりハラハラしてしまいますよね。

何よりも本作で頭に残る、いや、耳に残るのがまさに奇怪な世界観を表現したテーマソング“プンタ・デル・エステ組曲”でしょう。
テリー・ギリアムさながらのディティールまで作り込まれたセットの世界観が絶妙にマッチします。

コロナの影響で鬱蒼とした日々である今だからこそ楽しめる作品かもしれません。

※2020年自宅鑑賞153本目
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