えッティ

キャッチボール屋のえッティのレビュー・感想・評価

キャッチボール屋(2005年製作の映画)
3.9
キャッチボールの相手は、目の前にいる人ではなく、自分が探している人である。
誰もが、人を探すためにキャッチボールをする。

10分100円。
公園で営業中のキャッチボール屋。
1度 店番を任せたっきり帰ってこなかった店主に代わり、キャッチボール屋をやることになった大山。様々な人とキャッチボールをしていくうちに、過去に忘れてきた自分を取り戻していく。

この映画、何か事件が起こるわけでもなく、160キロの球が飛び交うこともなく、白熱した試合があるわけでもない。
人々が 淡々とキャッチボールをしているだけ。その人たちの過去や想いを添えながら。
だが、それが良い。
出てくる人 一人一人に魂が込められている。キャラクターが ちゃんと作られている。愛されている。
こういう映画こそ、”全員主役”というキャッチフレーズが合うんじゃないかな。
いや、むしろ”全員脇役”かな。

大体の映画は(0が始まり、100がラストだとして)0→100のストーリー展開である。
だが、この映画は -100→1のストーリー展開であった。

忘れてた過去を思い出すきっかけ。
未来に進み始めるきっかけ。
それを映しているのが この映画だと感じた。

とても面白かった。
心にずっと残る内容だなぁ。
えッティ

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