シリーズ第25作。
この作品をベスト寅さんに挙げる意見も多いので気になってたけどようやく見れた。
何がいいって、通算3度目の登場となるマドンナ・リリーと寅さんの距離感がたまらなく良い。『相合い傘』の番傘の名シーンも好きだけど、今作の沖縄でひとつ屋根の下、気心も知れた2人が幸せそうに暮らしてるシーンも好き。これが見たかったんだよ…と親のような思いで見てしまった。
決死の覚悟で思いを告げるも、冗談めかして取り合わない2人。それでも互いのことが気になってしまう2人。「一緒になろう」なんて言った暁には、それだけで居心地を悪くして逃げ出す寅さんが律儀にも駅まで見送って「またな」なんて言うんだから、もうこの関係性は誰にも冒せない領域だよな…と思った。
何にせよ、このリリーとの間には『またどこかで出会える』という漠然としながらも確信に近い縁がひとつあるんだなぁ…としみじみ。何かと落ち込む寅さんが前向きに葛飾を離れ、またその旅先でリリーと出会う。このあたたかな余韻は他の作品にはなかなかない成分だと思う。
名作に推す意見も納得の出来。
