少女時代に愛し合った男に死なれ、彼との間に生まれた子供と別れて暮らすことになるなど波乱万丈な人生を送ってきたヒロインが桃のキャンペーンガールになるべく奮闘する様を描く。福島に実在する果実のキャンペーンクルーを元ネタにしていると思われるが、ポルノらしくエロネタをバンバン挿入しているのに関係者からクレームは来ている様子はない(ただ知らないだけなのかも)。

AVをはじめ裏ビデオやポルノ映画、他にも自主映画やテレビドラマなど多岐に渡って活動してきた女優林由美香の遺作として知られるが、映っている本人にはそうした陰が見えないしドラマもひたすら明るい作風なので特には気にならない。ただ盟友で戦友でもあり様々な作品で仕事をしてきた吉行由実とタッグを組んだ本作が映画最後の作品になったというのは少し運命を感じたりも。

苦労を色々してきたはずなのに全くそんな面影がなくひたすら能天気な主人公像はバブル期にそこら辺の女の子がそのままポルノに出演してしまった林由美香のイメージにぴったりで、吉行由美監督の少女漫画チックな演出、ノリ優先で難しいドラマが一切なく進んでいく中身と相まって登場人物の心理がどうたらこうたらという一流な語り口とは無縁なプログラムピクチャーらしい馬鹿丸出しな人間たちの欲望丸出しな生態が嬉々として楽しめる内容になっている。また結構いい年齢なヒロインと巨乳な悪女で主人公同様ミスピーチの座を狙う薫桜子の対比も物語にもポルノとしてもいい味わいを出している、ちなみにサブタイトルの巨乳はメインではなく薫桜子を指しておりタイトルにあるピーチと巨乳で映画もきっと豊満なバストがバンバン出るはずと客のエロなハートを膨らませて刺激させるポルノ映画宣伝のテクニックに感心させられるはず。

主人公と別れた子供、かつて愛した男とそっくりな記者が自然とくっついてハッピーエンドになり、悪い奴が懲らしめられるというラストも何にも頭を使わず鑑賞できる娯楽作品らしい仕上がりとなっている。と同時にこうしたお客様が構えることなく楽しめるピンク映画のスタイルはこのジャンルが最後のプログラムピクチャーと言われる由縁なんだなと考えさせられる。

今やウルトラマンシリーズには欠かせない脚本家として活躍している中野貴雄の怪演や、最低の条件で商業映画を製作しているピンク映画とは思えない数のエキストラ(インターネットで公募)も見所。