他人の愛人（藤谷奈々子）に完璧な女性像を投影させた青年が、彼女の抑圧された性エネルギーを開放させようとする。本能至上主義のセックスについて提起している、日活ロマンポルノ。ユープロビジョン製作。タイトルの「聖女」はマドンナと読む。

他人の愛人を寝取ることに成功した青年が、衒学的なセックス・メンタリストのような立場となり、性意識の刷新を仕掛ける。すると、自由意志を刺激させられたヒロインが、青年の手を離れ、自由奔放なセックス劇を展開させてしまう。

主人公の青年が、エロティシズム論に傾倒している、インテリ系プレイボーイというキャラ設定になっており、女性心理を覚っているような口ぶりを貫く。あれよあれよと言う間に、女性の性エネルギーに翻弄されていく流れが面白い。

自由意志を尊重する立場でありながら、嫉妬と愛憎を抱かされる立場にも置かれる。この倒錯状態こそが、ロマンポルノの大きな醍醐味。「わたし、変態なのかな？」と疑念を抱きながら、男を取っ替え引っ替えしてしまうヒロインがヒジョーにエロい。