邦題はウムクペミの愛。ソウルオリンピック以降、好景気に沸く韓国において、京畿道郊外の田舎の村のスカート工場での物語。愛嬌があり、少しワルのイメージもあるパク・チュンフン演じるイルドは、ユ・ヘリ演じるヨンソを妻に持つ。ヨンソは継母にいじめられ、イルドと恋仲になり、イルドの仕事を紹介してもらってウムクペミにやってくる。

イルドは裁断や縫製の腕も一流で、他の工員たちよりも多くのスカートを縫っていった。また、女性の多い小さな町工場で、軽口を叩いたり、一緒にマッコリを飲んだりと、周囲のアジュマたちとも打ち解けていく。隣の席で働くゴルレは、どこかしら影を抱えた女性。自宅では夫に虐待され、息子の世話をしながら働きに来ていたが、大人しく、時々イルドのジョークに微笑む姿が愛らしい女性だった。

互いに惹かれていたイルドとゴルレは、給料日にもまっすぐに家には帰りたくなく、職場に戻ったイルドに対して、ゴルレがデートしないかと誘いをかける。そして、共に酒を飲み、勢いでソウル行きの列車に乗ってしまう・・・

自宅での夫と妻という立場は、社会で彼らが見せている姿とは全く異なるかもしれない。自宅で身の置き場がない者同士が惹かれ合う不倫の恋と言えばそうなるのだが、今よりもはるかにそれが許されない時代だった。