Toshiko

危険な情事のToshikoのレビュー・感想・評価

危険な情事(1987年製作の映画)
3.8
 原題“Fatal Attraction”. 1987年、アメリカ。エイドリアン・ライン監督作品(「運命の女」「ナインハーフ」「フラッシュダンス」などを撮ってる)。マイケル・ダグラス主演のサスペンス。サスペンスホラーかもしれない。
 エイドリアン監督の他の作品と共通するスタイリッシュな印象がこの作品にもあった。ストーカーという言葉がなかった頃のストーカーを、グレン・クローズが演じていて、これがとても怖い。昨日ちょっと途中からテレビで観て、これは出来が良さそうだわと思ってすぐ止め、本日オンデマンドで最初から視聴。1987年当時はこんな大人の映画は観ていなかったので。
 パーティで知り合い、偶然また再会した女性と意気投合して、少しの出来心で関係をもつ男性。妻と子は妻の実家に2泊ほど帰っていた間のこと。最初は割り切った関係と納得で始めたはずだったのに、女性の執着心がどんどん強くなり、職場に電話をかけてくるばかりか押しかけてきたり、家にも無言電話をかけてくるようになる。そして、だんだんエスカレートしていく。
 携帯電話もスマホもない時代に、よく浮気できたものだなーと変な感想を持った。連絡手段は固定電話か手紙くらいじゃないですか。電話に出てもらえなかったら待ち伏せしたりしてますます怖がられるわけじゃないですか。電子メールどころかSNSみたいな連絡手段がない時代に、よくそんな手間暇かけて…とある種の感動を覚えた。人は手間がかかってもつながりを求める生き物なのだなと。手間がかかるからこそ、ということもあるのかな。
 ストーカーする人は相手以外に失って惜しいものが何もないのね。恋愛は人生の一部でしかないのに、全部にしてしまうところに悲劇が生まれる。この映画が流行った年には浮気する男性が減ったと解説にあったけど、ある程度は本当かもしれない。
 水を使った演出がそこここに見られた。最初の印象的な情事のシーンから、最後まで。水も使い方で色っぽくなったり狂気じみたりする。じわじわ怖い映画だった。ある意味傑作。
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